ぴんくりんく企画「ピンク映画50周年 特別上映会 〜映画監督・渡辺護の時代〜」+『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(2月8日(金)〜2月12日(火)・神戸映画資料館)



2月8日(金)から12日(火)まで神戸映画資料館で開かれるぴんくりんく企画のピンク映画上映会。
その中で、渡辺護自伝的ドキュメンタリー第一部『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』が上映されます。


渡辺護とはどういう監督なのか?
1931年東京生まれ。65年に『あばずれ』で監督デビュー。以後230本以上のピンク映画を撮る。代表作は、『おんな地獄唄 尺八弁天』、『(秘)湯の町 夜のひとで』、『ニッポンセックス縦断 東日本篇』、『制服の娼婦』、『少女を縛る!』、『聖処女縛り』……
といった紹介文を書くこともできるのですが、
今回の上映会では、頭の片隅になんとなくある「ピンク映画」や「渡辺護」のイメージを一度忘れて、スクリーンに向き合っていただけたら、と思っています。
また、ピンク映画についてあまりよく知らない方にも見ていただけたら、と思っています。(『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』が、そのとっかかりになればいいのですが)


今回の上映会が、渡辺護とピンク映画を再発見する場になるといいのですが。
ぜひご覧ください。


<コメント>


万田邦敏(映画監督)
ピンク映画というのは1時間前後の尺の中に、セックスシーンが4回、5回ないといけないとか、何分間に1回ないといけないとかいう条件のもとで作られますよね。その条件は、監督にとってふつう「制約」として受け止められるじゃないかと思うんです。できたら無理矢理セックスシーンなんて入れたくはないけど、そうしないといけない決まりだから仕方なく撮る、というふうに。しかし、ある一群の監督や脚本家たちにとってはそれが制約ではなく、いや始めは制約であったにもかかわらず、すぐにセックスそのものがドラマの中心テーマに据えられるようになるという奇妙な逆転が起りますよね。渡辺さんもそうだったのか。でなければ、2百本以上のピンク映画は撮れないのか。しかしこのドキュメンタリーを見ていると(聞いていると)、渡辺さんにとっての関心はピンクそのものではなく、ピンクだろうとなんだろうと如何に面白く撮るか(如何に面白く語るか)、ただそれだけなんだということがわかってきました。つまり渡辺さんにとってピンクは、驚くべきことに今もなお「たまたまそうだった」であり続けているのではないかということです。渡辺さんには「映画」という糸が、ずっと切れないままつながっているんではないでしょうか。


高橋洋(映画監督・脚本家)
もしオリヴェイラ渡辺護を見たら、ええ! サイレント時代から映画を撮ってた人が俺以外にもいたの!とビックリするのではないだろうか。もちろん渡辺護は100歳ではない。ピンク映画の黄金期を支え、200本以上の映画を撮り続けた彼のデビューは1965年。彼の映画にずいぶんと遅れて出会った私たちは、その画面に、彼が語る言葉に、肉体に、マキノ、伊藤、衣笠ら活動大写真の興奮が息づいている不思議に呆然とした。井川耕一郎がドキュメンタリーの製作に踏み切ったのも、何としてもこの不思議を記録せねばならないと思ったからに違いない。渡辺護が語るのは体験談ではない。“体験”なのだ。クラシカルな嗜好とは無縁の、現在であり続ける“体験”。彼の映画がオリヴェイラ同様刺激的なのはそれ故だ。我々はスクリーンを通じて、スクリーンを見ている時だけ、この“体験”を共有できる。渡辺護の演出を捉えたメイキング映像は抱腹絶倒の面白さ!


ぴんくりんく編集部企画
ピンク映画50周年 特別上映会 〜映画監督・渡辺 護の時代〜
2月8日(金)〜12日(月・祝)


2月8日(金)
14:00〜『紅壷』(65年・85分)監督:渡辺護
15:40〜『三日三晩裏表』(69年・63分)監督:東元薫(梅沢薫)
17:00〜『婦女暴行事件 不起訴』(79年・61分)監督:渡辺護
18:30〜『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(11年・122分)出演・語り:渡辺護、監督:井川耕一郎


2月9日(土)
13:00〜『婦女暴行事件 不起訴』(79年・61分)監督:渡辺護
14:20〜『三日三晩裏表』(69年・63分)監督:東元薫(梅沢薫)
15:40〜『紅壷』(65年・85分)監督:渡辺護
17:20〜トークショー渡辺護、井川耕一郎、太田耕耘機(司会))
18:00〜『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(11年・122分)出演・語り:渡辺護、監督:井川耕一郎


2月10日(日)
13:00〜トークショー渡辺護、井川耕一郎、太田耕耘機(司会))
13:40〜『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(11年・122分)出演・語り:渡辺護、監督:井川耕一郎
16:05〜『おんな地獄唄 尺八弁天』(70年・75分)監督:渡辺護
17:40〜『男と女の肉時計』(68年・58分短縮版)監督:向井寛
18:40〜『素肌が濡れるとき』(71年・70分)監督:梅沢薫


2月11日(月)
13:00〜『男と女の肉時計』(68年・58分短縮版)監督:向井寛
14:20〜『素肌が濡れるとき』(71年・70分)監督:梅沢薫
15:50〜『おんな地獄唄 尺八弁天』(70年・75分)監督:渡辺護
17:30〜『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(11年・122分)出演・語り:渡辺護、監督:井川耕一郎


2月12日(火)
18:00〜『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(11年・122分)出演・語り:渡辺護、監督:井川耕一郎


※『糸の切れた凧〜』以外の作品はすべてピンク映画(R18+)


<料金>


*ピンク映画
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円
(割引:2本目は200円引き)


*『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


■会員とは神戸映画資料館の会員のこと(当日入会可・要会費)


神戸映画資料館:TEL 078-754-8039 (JR・地下鉄新長田駅)
(神戸市長田区腕塚町5-5-1 アスタくにづか1番館北棟2階)


上映会の詳細は以下のサイトをご覧下さい。

神戸映画資料館 http://kobe-eiga.net/

ぴんくりんく http://homepage3.nifty.com/a-sp/p-top.htm