2006-01-01から1年間の記事一覧

みなさん、よいお年を

年末はいろいろと忙しいものです。 というわけで、今週、ブログの更新はお休みします。 次回更新は1月6日を予定しています。 みなさん、よいお年を。

更新情報

12月21日(木)・22日(金)、名古屋シネマテークで『赤猫』『死なば諸共』『西みがき』が上映されます。 作品に関する詳しい情報はこちらを御覧下さい。 <大工原正樹特集> 『風俗の穴場』 風と家と唇―大工原正樹『風俗の穴場』について―その1、その2、…

御感想、お待ちしております。

『死なば諸共』 、『赤猫』 、 『西みがき』は、いかがでしたでしょうか? 御覧になった方の感想、お待ちしております。プロジェクトINAZUMAの掲示板はこちら。

12月21日(木)・22日(金)、名古屋シネマテークで『赤猫』『死なば諸共』『西みがき』が上映されます。

(チラシデザイン:新谷尚之) 名古屋シネマテークの「第20回自主製作映画フェスティバル」で、『赤猫』『死なば諸共』『西みがき』の三作品が上映されます。 中部地区の皆様、この機会にぜひ御覧下さい。 12月21日(木)16:20〜 12月22日(金…

「冬宴@京橋」開催!

「オトコとオンナの映画秘湯」上映会「冬宴@映美」が、12月10日(土)、映画美学校第一試写室で開かれます。 プログラムは以下のとおり。

風と家と唇―大工原正樹『風俗の穴場』について―その3の2(井川耕一郎)

(3)ずれていく対立関係 ・さらに続きを見てみよう。チャコのチャコらしくない、冷静さを欠いた発言に真っ先に反応したのは、突然、庭に姿を現したユカだった(こうした思いがけないところからの登場はマンションという設定ではできなかったことだ)。「あ…

風と家と唇―大工原正樹『風俗の穴場』について―その3の1(井川耕一郎)

事件は立て続けに起こった。縁側にひっそりと腰かけて順番待ちをしていた客――彼は、チャコの家でヘルス嬢としてまた働くようになったみちるの父・勝呂であった。洋室に入ってきた勝呂を見て、みちるは部屋を飛び出し、トイレに閉じこもってしまう。一体、ど…

風と家と唇―大工原正樹『風俗の穴場』について―その2(井川耕一郎)

演出家にとって、シナリオにのれないというのは絶望的な状況だ。大工原は『風俗の穴場』のシナリオを何とか直そうとするが、これだ!という直しの方針はなかなか見えてこない。ところが、ロケハンのついでに立ち寄った築四十年はたっていそうな一軒家の中を…

風と家と唇―大工原正樹『風俗の穴場』について―その1(井川耕一郎)

テープを巻き戻したら、もう一度最初から見ることにしよう。そう思わせる何かが『風俗の穴場』にはある。だが、大工原正樹によると、この作品の準備期間中はトラブル続きだったらしい。シナリオの直しは難航し、脚本家と決裂した大工原は助監督と手分けして…

『風俗の穴場』解説(大工原正樹)

これは、実在のヘルス嬢兼マンガ家をモデルにした実話です。完成時は「ファッションヘルス天国2」という題名でシリーズ化を狙った続編でしたが、1作目が売れなかったとの理由で、完成から1年後の発売直前に「風俗の穴場」というタイトルに差し替えられまし…

『風俗の穴場』

1997年・74分 製作:ピンクパイナップル 製作協力:フィルムキッズ 監督:大工原正樹 脚本:山下久仁明 撮影:福沢正典 照明:赤津淳一 音楽:坂口博樹 出演:石川萌、長岡尚彦、児島巳佳、吉岡ちひろ、大久保了、外波山文明、廣瀬昌亮

大工原正樹の『未亡人誘惑下宿』から演出のコンセプトを掘り返す(西山洋市)

この映画は設定や筋立てから、一見、マンガ「めぞん一刻」風の「ラブコメディ」に見えるかもしれないが、通常想定される「ラブコメディ」の世界観とは違うコンセプトによって男女の関係を描いている。まず、簡単に言ってこの映画は「ラブストーリー」ではな…

『未亡人誘惑下宿』解説(大工原正樹)

これは、山本晋也監督によって多く撮られ、ピンク映画では長らく人気だった定番シリーズ『未亡人下宿』のリメイクです(言わずと知れた「未亡人下宿」なのですが、周りの若い人で「未亡人下宿」はおろか「未亡人」や「下宿」の意味すらも知らない人が結構い…

『未亡人誘惑下宿』

1996年・74分 製作:ピンクパイナップル、製作協力:フィルムキッズ 監督:大工原正樹 脚本:藤岡美暢、撮影:福沢正典 出演:岩崎静子 斉藤陽一郎 コンタキンテ 武田有造 元気安 北山雅康

回り道をして家に帰る―大工原正樹『六本木隷嬢クラブ』について―(井川耕一郎)

明日、夫が出張から戻ってきたら、手作りケーキで結婚一周年を祝うことにしよう。そう考えた若妻(若菜忍)はケーキの材料を買いに出かけるのだが、その帰り道、意識を失いかけている女性(立花粧子)を見かける。若妻は自分のバッグを枕にして彼女をベンチ…

『六本木隷嬢クラブ』解説(大工原正樹)

どういう経緯で撮れることになったのかよく覚えていないのですが、88年の夏ごろ、にっかつの買い取り作品が「エクセス」という新しいレーベルで制作されることになってすぐに、「1本撮らないか」という話になりました。その前年、セカンドでついていたロッポ…

『六本木隷嬢クラブ』

1989年・63分 製作:フィルムキッズ 配給:エクセス 監督:大工原正樹 脚本:村上修 撮影:福沢正典 音楽:うさうさ(小中千昭+八木橋K也) 出演:若菜忍、徳井優、叶順子、立花粧子、草井正吾、清水大敬

大工原正樹――「大きな男」((代筆)常本琢招)

監督・大工原正樹の、その「人となり」について書け。 古くからの知り合いだという理由で、俺に回ってきたオハチ。確かに付き合いは長いが、実は大工原について、もっとも精確に、かつ愛情を持って書けるのは、大工原と俺の共通の先輩である、監督の鎮西尚一…

来週、再来週こそは……

ブログの更新を休みます。(プロジェクトINAZUMA掲示板に上映会の情報を載せました)

黒沢清監督『LOFT』を鑑賞して(mk)

まず物語のあらすじを簡単に示しておく。スランプに陥った女性作家・春名(中谷美紀)が田舎に引っ越しをしたところ、今やほとんど人の出入りがない大学の研修施設で、1000年前の女性ミイラを極秘保存していた教授・吉岡(豊川悦司)と知り合うことにな…

来週と再来週は……

ブログの更新をお休みします。 次回は11月25日(土)を予定しています。

大和屋竺『荒野のダッチワイフ』論(小出豊)

井川さん こんにちは。 唐突ですが、 『荒野のダッチワイフ』の主人公の殺し屋は、目が見えないのではないではないでしょうか? 彼は、雇い主から女性が陵辱されているフィルムを見せられ、「さっぱり見えねえな」と云っています。また、直後に「ひでえ雨降…

『西みがき 断片・夫の話』供養のいきさつ(北岡稔美)

先日、『Round2』上映会で、余興として『西みがき 断片・夫の話』が上映されました。これは、『西みがき』の当初考えられていたラストシーンを、独立した作品として再編集したものです。 映画制作の編集過程では、不要と判断されたカット・あるいはシ…

「ROUND2」上映会にお越しいただいたみなさまへ

昨日は、「ROUND2」上映会にお越しいただきありがとうございます。 映写テスト中に音声トラブルを発見、そのため、上映開始が大幅に遅れてしまいました。 本当に申し訳ありません。 今後はこのようなことが起きないように注意したいと思います。 ご感…

緊急!上映会「ROUND2」(10月22日(日)15:00〜・映画美学校第一試写室)

10月22日(日)15:00から映画美学校第一試写室で、千浦僚(自主映画制作グループ・サンドラブロックスのメンバー)とシネマGOラウンドの監督たち(植岡喜晴、万田邦敏、西山洋市、井川耕一郎)の新作上映会があります。 主催者から届いたチラシによると、…

更新情報

10月21日:『死なば諸共』に関する覚書1〜3(井川耕一郎) 10月18日:『西みがき』の演技の演出について(西山洋市) 10月14日:「ヤクザと地底人間」は、地上と地底を往復する人間たちの、ささやかな物語です(青山あゆみ) 10月6日:梅沢薫・大和屋竺『…

『死なば諸共』に関する覚書3(井川耕一郎)

さて、原作では、心中未遂事件のあとの展開は次のようになる。半留(映画では戸那という名)は大金を払って若山を請け出すが、いよいよ心中というときに彼女の口から漏れた「ああ、悲しい」の一言が気に入らないと言って、夫婦になるのを拒む。その後、彼は…

『死なば諸共』に関する覚書2(井川耕一郎)

それにしても、一体、なぜ原作『死なば諸共の木刀』の男は心中未遂事件を起こしてまで、遊女を試そうとしたのだろうか。遊女が自分に惚れているのは、単に自分が金持ちだからではないか、と男は疑ったのだろうか。たしかにそれも理由の一つになるだろう。だ…

『死なば諸共』に関する覚書1(井川耕一郎)

ある男が吉原の遊女と深い仲になり、身請けすることを約束する。だが、その後、男は遊女に手紙を送る。「自分は財産を失い、約束が果たせなくなった。どうか私のことは忘れてほしい」。遊女は着物と金を男のもとに届けさせ、会って話し合うことを求める。す…

『西みがき』の演技の演出について(西山洋市)

『西みがき』の出演者たちの演技は一見「ナチュラル」に見えるかもしれない。だが、実は『西みがき』はいわゆる「ナチュラル」を指向してはいない。出演者たちの演技は、ある出来事を「再現してみせる」ことのフィクション性を指向しているように僕には見え…