2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧
沖島勲の仕事全体を見渡したとき、一九九三年に公開された『紅蓮華』(監督・渡辺護)のシナリオはひどく孤立しているように見える。沖島の他の作品には童話的なもの――笑いと残酷さの独特な融合があるが、生真面目にリアリズムを押し通した『紅蓮華』にはそ…
沖島勲の新作『一万年、後....。』が9/8(土)から9/21(金)までポレポレ東中野にてレイトショー公開されます(連日21時より)。 公式サイトはこちら。
一九九六年に沖島勲が監督した第三作目の作品は、まずタイトルでひとを惹きつける。『したくて、したくて、たまらない、女。』――だが、このタイトルはピンク映画に本当にふさわしいものなのかどうか。たとえば、『女課長の生下着 あなたを絞りたい』というタ…
一九八九年に沖島勲が撮った二作目の監督作品『出張』は、落石事故で鉄道が不通になるところから始まる。地方の支社に行くはずだった熊井(石橋蓮司)は、途中の駅で足止めを食うことになるが、これは漂流の始まりでもあった。鉄道が復旧するのを待つため、…
『一万年、後‥‥。』の主人公の男は、一万年後の子孫・正一の家に漂着するまでのことを語っているうちに思わずこう叫んでしまう。 男「お袋ーッ! 宇宙の、こんな長い時間、始まりも終りも分らない、そんな時間の中に、たった(指で示して)、これっぽっちの…
一九六九年、沖島勲は『ニュー・ジャック・アンド・ヴェティ』を撮って監督デビューする。結婚式の打ち合わせのために山奥の別荘に集まった人たちが最後に乱交してしまうというこの傑作コメディにも、漂着物のような人物が登場する。新郎の母・きくがそうだ…
沖島勲が足立正生と共同で書いた『性犯罪』(監督・若松孝二)のシナリオには、読んでいてどうにもひっかかる部分がある。主人公の伊丹(吉沢健)が海辺で子づれの女に声をかけるあたりからの一連の場面がそうだ。 伊丹、夫人と話しながら、足元の砂をつまん…