2009-01-01から1年間の記事一覧

「勝手に逃げろ!」(『大脱出!〜脱出ゲームTHE MOVIE』〜)短編映画のことを考える(西山洋市)

小説家に長編が得意な人もいれば短編が得意な人もいてちゃんと認められているように(本屋に行けば「短編集」が長編に負けないくらいたくさん売られている)、映画にも短編が得意な人がいるんではないだろうか。しかし、いまのところ商業的な劇映画のスタン…

松村浩行と『TOCHKA』(トーチカ)についてもっと詳しく

<監督作品>『TOCHKA』(トーチカ)について 松村浩行『TOCHKA』(トーチカ)(あらすじと監督コメント) 『TOCHKA』(トーチカ)と二つの固有名詞(松村浩行) 『TOCHKA』(トーチカ)を目撃して(熊野桂太) 西尾孔志『おちょんちゃんの愛と冒険と革命』…

『TOCHKA』(トーチカ)を目撃して(熊野桂太)

TOCHKAという映画の存在は、僕も在籍している映画美学校の周辺でずいぶん前から囁かれていたが、僕が知ったときには劇場公開されていなかった。見る手立ても無かった。あらすじも知らなかったし、誰かの感想も聞いた覚えもない。ただ、ときどき、別々…

「ぴんくりんく」創刊11周年記念上映会『ポルノ・フィクション』で渡辺護『紅壷』、『婦女暴行事件 不起訴』を上映(PLANET+1で上映中・10月20日(火)まで)

関西のピンク映画情報紙「ぴんくりんく」が創刊11周年記念ということで、ピンク映画の特集上映を企画したそうです。 大阪のPLANET+1で現在上映中とのこと(10月20日(火)まで)。 「ぴんくりんく」創刊11周年記念上映会『ポルノ・フィクション』 …

『演出実習2007』製作ノート(7)(井川耕一郎)

9.補足(いくつかの注意)・『演出実習2007』と『演出実習2008』を見て、同じシナリオでも監督がちがうと、こうも芝居がちがってくるものなのか、と思うひとがいるかもしれない。だが、その感想には間違いが含まれている。 ・第一の間違いは、芝居を監督の…

『演出実習2007』+『演出実習2008』ノート目次

『演出実習2007』『演出実習2007』インタビューノート(冨永圭祐)『演出実習2007』編集ノート(北岡稔美)『演出実習2007』製作ノート(1)(井川耕一郎) 1.演出を学ぶ授業が必要、2.「演出実習」という授業『演出実習2007』製作…

演出実習2007製作ノート(6)(井川耕一郎)

8.「リハーサル篇」(井川耕一郎の授業)について 「リハーサル篇」はなかなかつくる気にならなかった。というのも、分析の対象が私の授業だったからだ。自宅で素材となる記録映像を見ようとするのだが、一、二分見たところでビデオを止めてしまうというこ…

『演出実習2007』編集ノート(北岡稔美)

映画美学校2期初等科時代、提出したビデオ課題を見た担当講師の井川さんの講評はこうだった。 「おそらく北岡さんは、考えてきたカット割りをこなすことばかり気にしていて、演出を怠っていたのではないだろうか。」 はい、ごもっともです井川さん、でも私…

映画美学校映画祭2009で『演出実習2007+2008』と『演出実習2009』を上映(8月30日(日)15時〜・映画美学校第一試写室)

『演出実習2007+2008』と『演出実習2009』が、映画美学校映画祭2009で上映されます(8月30日(日)15時〜・映画美学校第一試写室)。 8月30日(日) 【Aプロ】15:00〜 『演出実習2007』「ホン読み篇」「リハーサル篇」 【Bプロ】17:20〜 『…

『演出実習2007』製作ノート(5)(井川耕一郎)

7.「ホン読み篇」(西山洋市の授業)について 西山さんが演出実習の授業で行ったのは、ホン読みとリハーサルだった。 ただ、リハーサルは西山さんが初等科生の前で演出してみせるという感じではなく、さまざまな設定を考えて生徒と一緒に芝居を模索してみ…

『演出実習2007』製作ノート(4)(井川耕一郎)

6.『撮影現場・段取り篇』(万田邦敏の授業)について 万田さんは演出実習の授業で、リハーサルを行ってから、実際に撮影をしている。 そこで、私たちはリハーサル部分を45分にまとめ、インタビューのあとに完成作品をつけるという構成を考えた。だが、万…

『演出実習2008』製作ノート(小出豊)

演出とは問題を発見し対処することだ。シナリオの問題を発見し、台詞を声に変える際の問題を発見し、動作の問題を発見し、その諸々をどのように見せるかという問題を抱え込み、それに対処していく。演出の順序は問題の発見、そして対処だ。そこに変動はない…

『演出実習2007』インタビューノート(冨永圭祐)

○インタビューまでの経緯井川さんの演出実習2007教材ビデオ化計画は、万田邦敏篇(撮影現場・段取り篇)の編集から始まった(と思う)。で、僕にインタビューの話が来たのは、2008年の9月ごろだった(と思う)。初等科も終わり、高等科まで少し間が…

にいやなおゆき『灰土警部の事件簿 人喰山』について(井川耕一郎)

以下の文章は、『映画芸術』「2008日本映画ベストテン&ワーストテン」号に書いたものの再録です。 にいやなおゆき『灰土警部の事件簿 人喰山』10点 渡辺護『喪服の未亡人 ほしいの…』10点 渡辺護の『喪服の未亡人 ほしいの…』は、ピンク映画の枠で何かを表…

にいやさんと『人喰山』とわたし(北岡稔美)

にいやさんと初めて会ったのは10年前。思えば長い付き合いだ。 にいやさんは長電話が好きだ。気が付くと1〜2時間喋っていることはザラである。たいていにいやさんが喋っている。ほとんど雑談だが、雑談の中で色々とレクチャーしてくれる。アニメーションは…

『演出実習2007』製作ノート(3)(井川耕一郎)

4.『演出実習2007』 『演出実習2007』の製作は、研究科のゼミで、授業を記録したビデオを分析するところから始まった。 どういう形にまとめるかを考えるときに参考になったのは、小出豊くん(3期初等科・6期高等科)がつくった『演出実習200…

『演出実習2007』製作ノート(2)(井川耕一郎)

3.10期初等科演出実習の記録ビデオを見る 2007年1月に行われた10期初等科の演出実習を記録したビデオは、映画美学校生なら自由に見ることができるようになっていた。けれども、全部見た生徒はあまりいないのではないではないだろうか。 なにしろ、どのク…

『演出実習2007』製作ノート(1)(井川耕一郎)

1.演出を学ぶ授業が必要 自分が書いたシナリオを撮ってきているのに、設定やあらすじを説明しているだけの味気ないものになってしまう。面白いシナリオを書いたとしても、自分が書いたドラマの面白さをまるで理解していないかのようなトンチンカンな映画を…

『ついのすみか』、7月15日(水)18時からフィルムセンター小ホールで上映

井川耕一郎が86年に撮った自主映画『ついのすみか』が、「日本インディペンデント映画史シリーズ2 ぴあフィルムフェスティバルの軌跡vol.2」の1本として、7月15日(水)18時からフィルムセンター小ホールで上映されます(併映は永森裕二の『はばかりあん…

『みつかるまで』、7月24日(金)21時からユーロスペース1で上映

常本琢招の『みつかるまで』が、映画美学校セレクション2009の1本として、7月24日(金)21時からユーロスペース1で上映されます(併映は梅内美江子の『赤い芝生』)。 詳しくはユーロスペース公式サイトをどうぞ。 http://www.eurospace.co.jp/detail.html…

『それを何と呼ぶ?』について(長島良江)

「性のつながりに挫折した大人の女性2人が、お互いを求め合うが、挫折してしまう物語」 たしかこのようなことを書き付けたメモを本棚に貼付けて、そこからずれないようにずれないように、と注意しながらシナリオを書きました。思い返してみると「挫折」と「…

[西山洋市]役に立つ山中貞雄(西山洋市)

宮崎駿の『千と千尋の神隠し』は『丹下左膳余話・百万両の壷』に似ている。どちらもメルヘンだからだろうか? クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』は『河内山宗俊』に似ている。山中貞雄は『河内山』のプロットにジョン・フォードの『三悪人』を取…

本日、シネ・ドライヴ2009で『十善戒』後編を上映(PLANET+1・14時〜)

4月3日(金)まで大阪でシネ・ドライヴという自主映画の映画祭が開かれていますが、今日、4月2日(木)14時からPLANET+1で、オムニバス映画『十善戒』後編が上映されます。 関西在住の皆さまへ オムニバス映画『十善戒』の「八、不慳貪」を監督した葛生で…

映芸シネマテークVOL1『喪服の未亡人 ほしいの…』・渡辺護×井川耕一郎トークショー

『映画芸術』公式サイトに、昨年11月に行われた映芸シネマテークでの渡辺護と井川耕一郎のトークショーが採録されました(司会・構成:平澤竹織)。 映芸シネマテークVOL1『喪服の未亡人 ほしいの…』・渡辺護×井川耕一郎トークショー http://eigageijutsu.co…

シネ・ドライヴ2009 特別編〜常本琢招監督特集〜

4月11日(土)・12日(日)に、大阪のPLANET Studyo Plus One上映室で、「シネ・ドライブ2009 特別篇」として常本琢招の監督作品などが上映されるそうです。 詳細は以下のとおりです。 シネ・ドライヴ2009 特別編〜常本琢招監督特集〜 4月11日(土)…

長島良江への手紙(2)−矢部真弓『月夜のバニー』(『桃まつりpresents Kiss!』)について−(井川耕一郎)

矢部真弓さんの『月夜のバニー』は、歯みがきをしている美幸(藤田恵里沙)の姿が洗面所の鏡に映っているところから始まりますね。 そして、何者かが現れて、美幸の背後に立つのだけれども、 鏡に映るその人物の顔というか、頭部を見て、あっ!と声をあげそ…

長島良江への手紙(1)−長島良江『それを何と呼ぶ?』(『桃まつりpresents Kiss!』)について−(井川耕一郎)

長島良江様 『桃まつりpresents Kiss!』のDVDを受け取ったのが、たしか一ヶ月ほど前。 そのときに、感想を書きますよ、と約束したのに、今日までずるずると書かなかったのは、 用事がいくつかかさなってしまったということもありますが、 結局のところ、…

瀬田なつきの世界!ふしぎ!発見!(葛生賢)

正面から捉えられた一枚の世界地図。画面外から、海外へ単身赴任するらしい父親の声がその目的地を告げ、傍らにいるはずの母親と娘が、その赴任先と現在、自分たちがいる地点を結ぶ線を指でなぞってみせる。世界地図は学校の教室に掲げられているような類い…

新作『蜘蛛の国の女王』について(常本琢招)

どうも、常本です。好きなモデルは長谷川潤!!私の新作、『蜘蛛の国の女王』が完成、まずは大阪で上映の運びとなりましたので、この場でご報告させていただきます。 前作『みつかるまで』から7年ぶり。ものすごい時間が経ってしまいました(撮影自体は一昨…

『蜘蛛の国の女王』

(2008・日本 54分 DV) 製作、脚本、監督:常本琢招 プロデューサー :北岡稔美 撮影・照明:志賀葉一 出演:久遠さやか(「深呼吸の準備」) 西山朱子(「INAZUMA稲妻」) 粕谷美枝 佐藤幹雄 山崎和如 山田広野(声)