万田邦敏『ありがとう』を観てきました。(北岡稔美)
(以下の文章は2006年12月5日に「プロジェクトINAZUMA」BBSに書かれたものです)
初日舞台挨拶に駆け付けるつもりでしたが訳あって行かれず、昨日ようやく話題の『ありがとう』を観てきました。
いや〜、よかったです!
実は、ベタベタなお涙頂戴映画になっていたらどうしようかと心配してたのですが、そうはなってなかったですね。ただただ涙を誘うだけの単純な盛り上げ方にはなっていかない、そこに妙に感心しました。
で、私は復興の物語というよりも、赤井英和と田中好子演ずる二人の夫婦の物語と感じたんですね。
要するに、あ、これは現代版『王将』なのではないかと。設定も被るところが多いですし。
とすると、薬師丸ひろ子は田中好子の分身ということになりますが、薬師丸ひろ子演ずるあの人物は原作にあるわけで、そこがなんとも興味深かったです。
それにしても、赤井英和がプロゴルファーを目指してトレーニングするあたりは、『ロッキー』を彷彿とさせますね。
おぉっ!と思ったのは、プロゴルファーを目指すと決意してからの最初のシーンでゴルフの素振り?をしているカット。バストよりちょっと引いたサイズ(ズームバックしていたか?)でゴルフボールは見えないのですが(まあ素振りだったらボールはないわけですが)、よく見ると赤井英和の後ろには、まあるいガスタンクが見えるではないですか!ああっ、これは巨大なゴルフボールじゃあないか!?更に次のシーンでもジョギングする赤井英和の背景に再びガスタンク!プロテストに臨むあたりで入る真っ赤な夕陽も真っ赤なゴルフボールに見えるし!赤井英和がショットを打つときキャップを前後ろに被り直すと、その頭の形が白い球体(半球だけど)だったり!そういやあキャディー役の薬師丸ひろ子のほっぺたも丸くてゴルフボールみたいだぞ!すごいです万田さん!まるで『ダーティーハリー』の十字架じゃあないですか!!
劇中で、薬師丸ひろ子が赤井英和に「若い人のショットは力まかせなだけだけれど、古市さんのショットは的確です」というようなことを言うのですが、『ありがとう』は「万田さんの演出は的確です」ということを感じずにはいられない、そんな映画でありました。
未見の方、是非ご覧になってくださいね。自信を持ってお勧め致しまーす!