映芸シネマテークVOL1『喪服の未亡人 ほしいの…』・渡辺護×井川耕一郎トークショー

映画芸術』公式サイトに、昨年11月に行われた映芸シネマテークでの渡辺護と井川耕一郎のトークショー採録されました(司会・構成:平澤竹織)。


映芸シネマテークVOL1『喪服の未亡人 ほしいの…』・渡辺護×井川耕一郎トークショー
 http://eigageijutsu.com/article/115788489.html

――この映画を観た時に、主題は観念的なのに映像が現実的というか、はっきりしてるなぁという印象を持ったんですね。観念を抽象的な映像で語る作品は多いですが、こういう語り口は珍しいなと。そのギャップがとても面白かったんです。


渡辺 それは演出がうまいんですね(笑)。40年もやってると、バカだってある程度はうまくなる。僕はあと少しで80だからね、何回も人生を繰り返してきたような気がして、ドラマも全部分かってるような気持ちがあるんです。だから仕事の話がきた時も、この脚本をお客さんに面白く見せられると思ったら、簡単にOKしちゃうほうなんです。この間、フィルムセンターで伊藤大輔の『いとはん物語』(57)を観たんですよ。大阪の老舗に三人姉妹がいて、次女、三女は美人なんだけど、長女だけブス。でも、純真なんですね。その長女に番頭と結婚しないかって話があって、長女もその気になる。けれども、番頭には惚れてる娘がいて、結局、長女はふられてしまうってだけの話なんです。ところが、さすが伊藤大輔ですねえ。京マチ子がメイクなどで工夫してブスな長女を演じているんだけど、最初にその顔をアップで見せるところがいい。すごい顔なんだ、これが(笑)。伊藤さん、京マチ子をどうやってブスに撮ってやろうかと面白がってたんだろうなあ。それから、番頭と結婚できると聞いて喜ぶ京マチ子の姿をあの手この手で見せている。番頭やってる鶴田浩二はどうでもいいけど、京マチ子はよかったですねえ。それから、鶴田浩二が惚れている小野道子もよかった……ええっと、おれは何の話をしてるんだ?


井川 演出の話ですよ。