森田亜紀(千里)

 この役を演れることが決まった時、本当に嬉しかったです。
 役づくりが難しく、だからこそやりがいのある役でした。どこにでもいそうな、普通の(ように見える)女性が、周りの人々の見えない思惑に翻弄され、自分の内へ内へと入っていき、ついに放火という行為に走る―どこまでが現実でどこまでが夢なのかわからない奇妙な時間―私が井川さんの脚本から率直に受けた印象をそのまま忠実に表現することを第一に考えました。
 私の表現の未熟さを、大工原監督の演出が助けてくれて、今まで自分でも気が付かなかった一面、感情、そして表情を引き出して頂いたと思っています。
 何と言っても二月の厳寒の中、スタッフ、出演者(三匹の猫を含め)一丸となって創り上げたこの作品「赤猫」は、私の宝物です。


森田 亜紀(もりた あき)1974.11.19生まれ。ストレイドッグ所属。主に舞台を中心に活躍。近作に『心は孤独なアトム』(02)、『竜二〜お父さんの遺した映画〜』(03)、『母の桜が散った夜』(04)などがある(三作とも作・演出:森岡利行)。NHK『ビタミンF ゲンコツ』、映画『問題のない私たち』(森岡利行監督)などにも出演。
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