「西みがき」出演にあたって(本間幸子)

 粕谷さんも書いていた通り、棚からぼた餅みたいに出演できることになり、しかも主演?いいんだろうかと思ったのでした。
 そしてシナリオが出来て、井川さんが「『西みがき』のイメージは××を見て○○するんだけどね。」「そんなのは西口君くらいしかイメージできない。」と言った時、なるほどと思った反面、まさかホントにそんなことしないだろう、出来ないだろうと思いました。
がしかし、井川さんがそんなこと言っていたと、おそらく知らない西口クンは、事実を告げられても、躊躇することなく、それをやって見せたのでした。
しかも本番の時はリハを上回る、それは素晴しい、井川さんもカットをかけられ無い、見ていた人は声を発てないように必死に我慢するのが大変、でも目がはなせない、永遠に続きそうな状態でした。まさにお見事!(主役は西口君かもしれません。)
映画史上に残る名場面、且つ迷場面です。


 一方、私はと言うと「馬跳び出来ますか?」という井川さんの問いに対して「それくらい出来ます。」と言ってのけたのです。そして「出来るか不安」と言う粕谷さんに付き合って、夜の京橋オフィス街で試しに跳んでみたのです。見本にでもと、先に跳んでみたのですが、まんま粕谷さんの背中に乗ってしまい、バランスを崩し二人で地面で戯れることに・・、夜でよかったということになりました。もちろん粕谷さんはすんなり跳べました。思えば、中学以来跳んで無かった・・、気がつけば十年は軽く経っていました。いろんな意味で、中学から成長は止まっていたのに、体力とお肌は衰えていくんだと、人生の無情を感じました。
と、いろいろ不安がありましたが、「恋人たちは濡れた」を見たり(ただ感動しただけですが)、粕谷さんの体を張った男気ある協力で、無事に馬跳びも成功し完成できてよかったです。
 撮影前はいつもより食欲が無くなり、自然にダイエットでき、撮影中は鍋もお弁当も美味しくて、なんかとても幸せな時間を過ごせてしまいました。
 夢のような撮影は終わり、体重は元通り、私はどうなるのでしょうか?ただ『幸子』という名前に負けしないように生きていくだけですが、既に負けそうです。
 いや、一人でも多くの人に「西みがき」を見て頂けたら、やはり幸せです。