2013-02-05から1日間の記事一覧

『男ごろし 極悪弁天』から『おんな地獄唄 尺八弁天』へ(3)(井川耕一郎)

殺意と表裏一体の愛欲について。 これは、『極悪弁天』では英二郎がになっていた。 英二郎に抱かれた加代が「苦しい……死ぬかと思った……」と言うと、彼はこう答える。「俺は人斬り英二郎と云われた男だ……あんたを殺る時は……ドスであの世に送ってやる」 『尺八…

日録1980年7月28日(渡辺護)

(このエッセイは、「日本読書新聞」1980年7月28日に掲載されたものです) 俺の映画の熱心なファンである若者たちが、今はもう劇場で上映されない古いフィルムが見たいといって来た。『少女縄化粧』や『聖処女縛り』を観て俺の名前を覚えてくれたという彼ら…

日録1980年7月21日(渡辺護)

(このエッセイは、「日本読書新聞」1980年7月21日に掲載されたものです) ×月×日 撮影最終日。言問橋から吾妻橋付近で痴漢公園のシーンだ。午後一時三〇分、体があいたのでなつかしい喫茶店に入る。すると、思い出が記憶の底からせきを切って流れ出す。ま…

日録1980年7月14日(渡辺護)

(このエッセイは、「日本読書新聞」1980年7月14日に掲載されたものです) ×月×日 新東宝のお盆映画『日本の痴漢』の撮影にインする。毎度のことであるが、新宿安田生命前七時半集合はキツイ。五日間と言う短期間で撮りあげなくてはならないのは、いつおな…