死なば諸共

『死なば諸共』に関する覚書3(井川耕一郎)

さて、原作では、心中未遂事件のあとの展開は次のようになる。半留(映画では戸那という名)は大金を払って若山を請け出すが、いよいよ心中というときに彼女の口から漏れた「ああ、悲しい」の一言が気に入らないと言って、夫婦になるのを拒む。その後、彼は…

『死なば諸共』に関する覚書2(井川耕一郎)

それにしても、一体、なぜ原作『死なば諸共の木刀』の男は心中未遂事件を起こしてまで、遊女を試そうとしたのだろうか。遊女が自分に惚れているのは、単に自分が金持ちだからではないか、と男は疑ったのだろうか。たしかにそれも理由の一つになるだろう。だ…

『死なば諸共』に関する覚書1(井川耕一郎)

ある男が吉原の遊女と深い仲になり、身請けすることを約束する。だが、その後、男は遊女に手紙を送る。「自分は財産を失い、約束が果たせなくなった。どうか私のことは忘れてほしい」。遊女は着物と金を男のもとに届けさせ、会って話し合うことを求める。す…

死なば諸共のシナリオ工程(片桐絵梨子)

ある日、西山洋市氏よりシナリオの依頼。井原西鶴著『死なば諸共の木刀』。西山氏の言葉、「時代劇のつもりで書いていいよ。片桐、こういうの得意だろ?」得意ではないが、書けますと言う。勢いだけで第一稿を完成させる。面白くないと切り捨てられる。以下…

『死なば諸共』について(西山洋市)

「江戸」とは地名であると同時に時代も示している。「吉原」とは江戸幕府公認の遊郭の名称である。遊郭には遊女がいて、契りを交わした男がいる。そこで起こるのは恋愛事件であり、心中沙汰である。 ところで、今、「時代劇」と言えば、江戸時代以前の出来事…

作品紹介『死なば諸共』

出演・岡部尚、西山朱子、石井愛夏、高橋美帆、山内麻莉、小嶋洋平、関根妙子 原作・井原西鶴、監督・西山洋市、脚本・片桐絵梨子、撮影・保坂大輔、照明・金子裕昌、録音・黄永昌、助監督・土屋圭 (2006年/DV/カラー、スタンダード/18分) あらすじ…