三島裕二

『ジャンルと模倣された「痛み」 ニューハーフ物語 わたしが女にもどるまで』(三島裕二)

あなたは、この映画を見て何を感じただろうか? この映画の画面上で繰りひろげられる物語を要約するならば、ニューハーフと呼ばれている人たちが働くダンスパブで働く人物たちを多少誇張気味に描きつつ、そこにやって来たユカの、不幸な生い立ちにも関わらず…

『愛欲の罠』を見て(三島裕二)

いきなりネタバレになって恐縮なのですが、まずはじめにナンバー1の殺し屋、西郷とマリオについて考えてみたいと思います。 この映画の最後において明かされるナンバー1の殺し屋の正体――実は西郷はダミーの人形で、本体はマリオだった――は、しかし、それ自…

『明治侠客伝 三代目襲名』2(三島裕二)

さて次に藤純子の行動のあり方について見てみよう。映画の中で藤純子は娼妓として登場する。彼女は星野と共に木屋辰組を陥れようと画策する唐沢という男に気に入られて身請けされようとしているのだが、劇中に何度か登場する「売りもん、買いもん」とう台詞…

『明治侠客伝 三代目襲名』1(三島裕二)

この映画のラスト、鶴田浩二は組の敵である星野組の元に単身乗り込む。星野組に入るなり、鶴田は星野を日本刀で一突きにする。近くにいた唐沢(鶴田にとっては恋敵である)が身の危険を感じて逃げ出す。必死の形相で逃げる唐沢が、後ろを振り返るとそこには…