2006-01-01から1年間の記事一覧

各作品のあらすじ

『月へ行く』(植岡喜晴) 豆腐屋の娘、柿の木坂ナオは、担任教師の小山に犯され妊娠して高校を休学中。彼女は、空飛ぶ円盤が自分たちにピンクの光線を浴びせたと公言し、だからお腹の子は宇宙人だと固く思いこんでいる様子。一方、父親のテツゾウも、時を同…

乾杯!ゴキゲン野郎(シネマ)〜シネマGOラウンドによせて〜(常本琢招)

「ハッピーになれるデェ!」とは、阪本順治の呪われた映画『ビリケン』の惹句だったが、僕も今回、完成以来久々、『シネマGOラウンド』の作品たちを見直して、とにかくハッピーな気持ちになったことをまず告白する。なぜか?それはこの映画たちが、今の眼…

夏祭@映美(8月19日(土)13:00〜)

一体、何なんだ、この連中は?という疑問が当然出てくると思うので、答えておくと、 左奥から、植岡喜晴、西山洋市、井川耕一郎。 この三人にもう一人、万田邦敏を加えると、2001年7月にアテネフランセ文化センターで公開されたオムニバス映画『シネマGO…

『おんなの細道 濡れた海峡』を読む5(井川耕一郎)

シーン28でボクとカヤ子は寝てしまうのですが、翌日も二人はずるずると旅館の部屋にこもったままです。そうして夜が来て、二人は出前のうどんを食べながら話をします。 34 旅館の一室(夜) 薄暗い灯の下でボクとカヤ子、出前のうどんを啜る。 ボク「ポロ…

『おんなの細道 濡れた海峡』を読む4(井川耕一郎)

赤ちょうちんで島子の抜けた歯を飲みこんでしまったボクは、翌日、海に面した断崖でカヤ子と並んで用をたします。カヤ子はヒラさんの漁船が着く△△港まで行くと言う。行くあてのないボクはカヤ子と一緒にその港町まで行き、ホルモン焼屋に入るのですが、そこ…

永遠の5月23日(2)

西山洋市 「私の感情」を利用するというのは「メソッド演技」の方法のひとつですね。「役の感情」を掴むために自分の「感情の記憶」を探ってゆくというようなアプローチだと思うのですが、そういうことを深く突き詰めてゆくと「頭の中の開けていない部分が開…

来週は……

来週は都合により更新を休みます。

『おんなの細道 濡れた海峡』を読む3(井川耕一郎)

社長の子分・松夫たちに襲われかけたボクは、島子を見捨ててバスに飛び乗ります。そのバスの中でボクは尻が痛くなる。 (10 バスの中) ボク「痛テ……」 ボク、尻ポケットを探って、何かつまみだす。島子の抜けた奥歯である。 ボク「……痛えじゃねえか」 ボ…

『おんなの細道 濡れた海峡』を読む2(井川耕一郎)

『おんなの細道 濡れた海峡』は、ボクと島子が汽車に乗っているところから始まります。これから島子の旦那、社長のところに行こうとしているのですが、島子は「どうすんのよ」とボクに尋ねる。そうして「あんた殺されるかもしれないよ」とボクに言うわけです…

『おんなの細道 濡れた海峡』を読む1(井川耕一郎)

(以下の文章は、今年の5月に映画美学校の授業で話したことをメモをもとに再現したもの。週一のペースで四回くらい連載する予定です。なお、テキストには「月刊シナリオ」1980年5月号に掲載されたシナリオを使っています) 『おんなの細道 濡れた海峡』(…

永遠の5月23日(高橋洋・西山洋市・片桐絵梨子)

来週あたり、ブログを再開しようと思うのですが、その前に5月23日のコメント欄を本文に再録しておくことにします。演出や演技をめぐってなかなか興味深い議論が展開されているのですが、一体、この議論はいつまで続くのか……それは誰にも分かりません。(井…

『直したはず、なんだけどなあ』5(『バオバブのけじめ』(松浦博直)について)

<『バオバブのけじめ』あらすじ> 大学生の和夫は東京で一人暮らし、そこに高校生の弟洋と父政義が田舎からやってきた。失踪した和夫たちの母親を探すためだ。三人は神奈川の海岸沿いに向かうが、叔父の目撃談だけで他にたいした手掛かりもなく、政義は息子…

『直したはず、なんだけどなあ』4(『底無』(小嶋健作)について)

<『底無』あらすじ> 塾講師の田辺は、平山という生徒がイジメを受けているのではないかと疑う。平山が隠し持っていたナイフを偶然手に入れた田辺は、事の真相を確かめるため平山の家に行く。だが平山は平然と田辺にナイフを譲ると言う。 ―――小嶋くんは大工…

『直したはず、なんだけどなあ』3(『水の睡り』(栩兼拓磨)について)

<『水の睡り』あらすじ> それまで暮らした家からアパートに引っ越した義男は、音信不通だった姉、陽子と再会し、共に暮らし始める。穏やかな生活が始まるかに見えたが、義男は悪夢に襲われるようになり、二人は過去の記憶が眠る、川の上流へと向かう。 大…

『直したはず、なんだけどなあ』2(1stCutの選考について)

大工原:しかし、4本並べてみると、中矢くんの作品の異質さは際立つね。ともすりゃ、他の3作品は区別がつかなくなっちゃうから(笑)。 ―――選考のときには、そういった作品のバランスというのも重視されるのでしょうか? 大工原:最後の1本にどれを選ぼうか…

『直したはず、なんだけどなあ』1(『out of our tree』(中矢名男人)について)

<『out of our tree』あらすじ> 孤独な男の子、彼を殺そうとする母親、催眠術に囚われた少女、ヒロインを探す二人の映画青年、そして彼らを監視する謎の男…互いに互いを探し、互いに互いを見失いながら、彼らは光の中をさまよっていく。 大工原:選考につ…

『直したはず、なんだけどなあ』(大工原正樹×中矢名男人)

昨日、8期の中矢名男人くんから(『out of our tree』の監督)「1stCut ver.2005のサイトの更新が事情により大幅に遅れているので、掲載予定だったインタビューを載せてほしい」とのメールが来ました。 というわけで、3週間ほどこのブログは…

『集い』(遠山智子)について

ついでに在庫処分をもう一つ。『よろこび』『黒アゲハ教授』『犬を撃つ』の作品評(http://d.hatena.ne.jp/inazuma2006/20060521/p1)の続きとして書いた『集い』(遠山智子)の作品評を再録しておきます。 その前にパンフレットに載ったあらすじと監督コメン…

6月1日の上映作品

今日6月1日の上映作品は『世界は彼女のためにある』(保坂大輔)と『モリムラ』(村山圭吾)の2本です。 昨年の7期1stCutのパンフレットに書いた『モリムラ』の解説が出てきたので、再録しておきます。 (『モリムラ』に関する情報はこちら。 http…

お知らせ

『みつかるまで』、『赤猫』、『INAZUMA 稲妻』は、いかがでしたでしょうか? ご感想、お待ちしています。 さて、1stCutですが、このあと6月9日(金)まで続きます。 というより、今までのは前座のプログラム、これからが本番です。 2005…

西山朱子(千華)

「INAZUMA 稲妻」の妻は ツマハジキのツマよ〜♪ 私が演じた役、千華は、あらすじにあるような“嫉妬に狂ってふたりの関係に割って入る”女の子ではなく・…セリちゃんに花火を投げつけるといったちょっかいは出しますが、あれはもう功を奏す狙いはなく、困っちゃ…

松蔭浩之(加嶋)

「顔に傷もつ男」主演の不思議な映画。 チャンバラ劇なんだけど現代劇、劇中劇。 十数年ぶりの電話。私にとっては久々の俳優業のオファーだった。西山監督のデビュー作である「おろし金に白い指」で、主人公の夫役を演じさせていただいたのが1991年だっ…

宮田亜紀(セリ)

西山監督の作品には何度か出させていただいているのですが、『INAZUMA 稲妻』はいつもと違っていました。西山監督の現場は淡々とスムーズに進んでいく印象があったのですが、今作品ではテイクを重ね、じっくり、粘っこく撮られていたように思います。…

31日の上映作品

31日の上映作品は『春雨ワンダフル』(青山あゆみ)、『如雨露』(吉井亜矢子)、『INAZUMA 稲妻』(西山洋市)の3本です。 『春雨ワンダフル』『如雨露』に関する情報はこちら。 作品紹介 http://d.hatena.ne.jp/inazuma2006/20060522/p1 『INA…

緋色の研究 『INAZUMA 稲妻』を読む(松村浩行)

(この批評は『INAZUMA 稲妻』についてかなり詳しく論じています。ネタバレが気になる方は映画を見たあとにお読み下さい) 囚われた妻を救い出すため、川岸へと通じる地下道の闇のなかを、刀片手に、痛めた足をもどかしそうに引きずって急ぐ加嶋を包…

30日の上映作品

今日30日の上映作品は『人コロシの穴』(池田千尋)と『赤猫』(大工原正樹)の二本です。 『人コロシの穴』に関する情報はこちら。 作品紹介 http://d.hatena.ne.jp/inazuma2006/20060522/p1 『赤猫』に関する情報はこちら。 作品紹介 http://d.hatena.ne.j…

『INAZUMA 稲妻』について(大工原正樹)

井川さんへ(前文略) ところで昨日、『INAZUMA 稲妻』をついに観ました。 信じられないような綱渡りを見事にやり切っていますね。 映画が始まった瞬間から、何か大変な試みを西山さんはやろうとしているのだ、という気配がビンビンと伝わってきて、…

『赤猫』―――化けること・2(小出豊)

(この批評は『赤猫』についてかなり詳しく論じています。ネタバレが気になる方は映画を見たあとにお読み下さい) 自分の妊娠中に夫が浮気をしているのではないかという不安を、火を見ることで鎮めることを覚えた妻は、不安の増大と共にもっと大きな炎を欲す…

『赤猫』―――化けること・1(小出豊)

(この批評は『赤猫』についてかなり詳しく論じています。ネタバレが気になる方は映画を見たあとでお読み下さい) 『赤猫』は42分の上映時間をもち60のシーンで構成されている。数式化するならば〈1シーン42秒間×60=42分〉ということになる。大半のシーン…

28日の上映作品

『みつかるまで』(常本琢招)は、いかがでしたでしょうか? 御覧になった方の感想、お待ちしております。 さて、28日の上映作品は『黒アゲハ教授』(福井廣子)、『よろこび』(松村浩行)、『う・み・め』(万田邦敏)の3本です。『黒アゲハ教授』『よろ…